【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙・・・。
「――野原くん、この企画の件だが……」

「はい。これはですね……」

会社の中で、オラと係長は、次の企画について話をしていた。
この会社に勤めてもう9年……仕事にもすっかり慣れた。

高校卒業と同時に入社したこの会社は、会社の規模は小さいが給料がいい。
おまけに上司も温かみのある人が多く、色々とオラを助けてくれている。

「――あ、もうこんな時間!帰らないと……」

「ああ野原くん!この後、一杯どうかね!」

「あ……すみません係長、これから家でご飯を作らないといけないので……」

「少しくらいいいじゃないか」

「はあ……でも、妹がお腹を空かせて帰りますし……」

「……そうか。キミは、妹さんと二人暮らしだったな……分かった。早く帰ってあげなさい」

「本当にすみません。それでは……」

足早に会社を出て、そのまま家に向かう。その帰りにスーパーに寄り、食材を購入する。
ひまわりは料理が苦手だ。たまに教えるんだが、

母ちゃんに似たのか、飽きっぽくてすぐに止めてしまう。
ホント、似なくていいところばかり似るもんだ……




13 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)22:05:02 ID:1O7mcjVGu
「――ただいまー!」

大きな声を出して、ひまわりが帰って来た。そしてスーツのまま、台所へ駈け込んで来た。

「お兄ちゃんお腹空いた!今日のごはん何!?」

「クリームシチュー。好きだろ?」

「うん!大好き!」

ひまわりは目を輝かせながら、鍋の中を覗きこむ。

そして大きく匂いを嗅ぎ、満足そうに息を吐いた。

「こらこら。先に手を洗ってきな。ごはんは、その後だ」

「ええ!?いいじゃんべつに……」

「だ~め!」

「ぶー……」

渋々、手を洗いに行った。これも何度目の光景だろうか。

行動が全く進歩しない妹に、少しばかり不安を感じる。
これじゃ、嫁の貰い手もないだろうな。

15 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)22:12:36 ID:1O7mcjVGu
「いっただっきま~す!」

「いただきます」

今のテーブルを二人で囲み、晩御飯を食べ始める。
普段着に着替えたひまわりは、一心不乱にシチューを食べていた。

「――うん!さすがお兄ちゃん!すっごくおいしい!」

「ありがと。……それより、会社はどうだ?」

「会社?……う~ん、あんまり面白くないかも……」

「そりゃそうだ。会社ってのは、面白くもないところだ。

面白くないことをするから、お金を貰ってる。基本だぞ?」

「そうなんだけどね……なんていうか、つまんないの。

会社の業績はまあまあなんだけど、先輩に面倒なオバハンがいてね。

やたらと、目の敵にしてくるんだぁ……」

「ああ、いるいる、そういうの。……まさかとは思うけど、気にしてんのか?」

「私が気にすると思う?」

「いや全然」

ひまわりは神経が図太いからなぁ……これも、母ちゃんによく似ている。

「ただ、面倒なんだよね、そういうの。

嫉妬するのは分かるんだけど、それなら私以上に実績積めばいいだけだし。

それをしないで、ただ因縁だけ付けてくるってのが気に入らないんだ」

「……そうか……お前も、大変だな」

「うん。まあね」

あっけらかんと、ひまわりは答える。まったく大変そうには見えないが……

16 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:14:30 ID:aEJYZi6CT
シロ…

17 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:15:38 ID:f9tMesHuo
>> 16
あっ…

18 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:16:41 ID:3HpzmpTHH
>> 16
高校卒業して9年ってことは、27歳……
つまり、シロは……(´;ω;`)ブワッ

19 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:19:14 ID:zo92SzgX4
ひろし…みさえ……二人とも居ないって事は事故かな…

20 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)22:25:17 ID:1O7mcjVGu
食事を終わったひまわりは、風呂に入る。

「着替え、ここに置いとくぞ」

「は~い」

風呂の中から、籠った声を出すひまわり。ひまわりは、とにかく風呂が長い。
何でも、少しでもカロリーを消費するためとか。無駄な抵抗だと思うんだが……

「……お兄ちゃん?今何か、失礼なこと思わなかった?」

お前はエスパーか……

「……あんまり長風呂するなよ?この前みたいに、のぼせて倒れちまうぞ?」

「ああ!話を誤魔化した!!やっぱり思ってたんだ!!」

……こういう感が鋭いところも、母ちゃんに似てる……。




23 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)22:36:44 ID:1O7mcjVGu

脱衣所を出ようとした時に、ふと、ひまわりが言ってきた。

「……ところでお兄ちゃん」

「うん――?どうした?」

「お兄ちゃんさ、今年で27だよね?」

「……まあな」

「――結婚とか、考えてないの?」

「………相手がいれば、いつでもしてやるけどな。そういうお前はどうなんだよ」

「私?私は、まだ早いよぉ。だって、まだ22歳だし」

「結婚まではしなくても、付き合ってる男もいないのか?」

「う~ん……言い寄って来る人はいるんだけどね……

どれもいまいちというか、パッとしないというか……」

「………」

誰に似たのか、ひまわりは、凄まじくモテるようだ。

まあ確かに、顔は兄のオラから見ても、かなり美人の分類に入ると思う。何気にスタイルもいい。
男にモテるのも、仕方ないのかもしれない。

もっとも、純情ピュアってわけではなく、

何というか、ザァーッとして、竹を割ったような性格だから、

下手に言い寄られてもまるで相手にはしないようだ。
変な男に捕まらない分、安心はしている。

「……まあ、そろそろお前も結婚考えろよ?母ちゃんは、

お前くらいの時に結婚してるんだからな」

「それはお兄ちゃんも一緒でしょ?さっさと結婚しないと、

一生独身の寂しい人生しか残ってないよ?」

「やかましい。ホラ、早く上がれよ」

オラは、居間に戻った。

24 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:41:17 ID:WgNkApMsl

涙腺決壊スレ

25 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:45:41 ID:zo92SzgX4
しんのすけ……かっこよすぎる

26 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:47:11 ID:WgNkApMsl
つづきはよ!はよ!

27 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)22:51:19 ID:1O7mcjVGu
風呂に入った後、居間でテレビを見ながら、ぼんやりと昔のことを思い出していた。

――父ちゃんと母ちゃんは、オラが中学の時に事故で他界した。

夫婦水入らずで旅行に行く途中のことだ。
それから、秋田と熊本のじいちゃんばあちゃんが、

オラとひまわりをそれぞれ引き取る方向で話が進んでいた。

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……でも、ひまわりが、オラと離れて暮らすことを激しく抵抗した。
ひまわりにとって、親しい家族は、オラだけだった。
オラまでいなくなってしまう――小学生だったひまわりは、そう思ったのかもしれない。
結局オラとひまわりは、この家で過ごすことになった。

オラはそれまで、色々バカをやっていた。
でも、もう父ちゃん達はいない。ひまわりを育てるのは、オラの役目になる。
それ以降、オラは徹底して父ちゃん、母ちゃんになった。
最初の方、ひまわりが動揺していたのは、今はいい思い出だ。

じいちゃんたちの支えもあって、オラは高校を卒業することが出来た。

それからすぐに就職して、今に至る。
爺ちゃんたちは、大学へ行くように勧めて来た。
でも、それも断った。
いつまでもじいちゃんたちに負担をかけるわけにはいかなかったし、

ひまわりの学費も工面しないといけなかった。

その決断に、悔いはない。

もっとも、ひまわりも大学に行かずにアルバイトをし始めてしまったから、

結局無用な心配だったが。

29 :名無しさん@おーぷん:2014/08/14(木)22:53:41 ID:stTb8uBz2
しんのすけいい人すぎる…

32 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)23:15:45 ID:1O7mcjVGu
「……結婚、か……」

ふと、ひまわりに言われたことを思い出した。
結婚と言えば、忘れもしない出来事がある。

……ななこさんの、結婚だ。

オラが小学校の時のことだった。
ななこさんは就職し、同じ職場の男性と結婚した。
とても、いい人だった。その人を見た時、オラは全てを諦めた。

この人なら、ななこさんを幸せに出来る――小学生ながら、

生意気にも、そんなことを考えていた。

しかしまあ、ひたすら泣きまくったものだ。
そんなオラに、父ちゃんは言った。

『想いが成就することは、人生の中では少ない。

人は誰かと出会い、想い、こうして、いつか想いを断ち切らなければならない時が来る。

人生ってのは、そうやって繰り返されていくものだ。
――でもな、しんのすけ。大切なのは、

その時に、どういう気持ちでいられるかってことだ。
ななこさんは、きっと幸せになる。

本当にななこさんの幸せを思うなら、彼女の門出を祝ってやれ。
泣きたいときは、父ちゃんが一緒に泣いてやる。

だから、祝ってやれ。それが、お前に出来る、最大の愛情表現だ―――』

そしてななこさんは、結婚した。
今では、二児の母となっている。時々家にも遊びに来る。

幸せそうな彼女の笑顔を見ると、こっちまで幸せになる。

憧れは思い出に変わり、思い出はいつまでも心を温めてくれる。
そうやって、人は大きくなる―――

これも、父ちゃんの受け売りだ。




33 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)23:26:06 ID:1O7mcjVGu
(ひまわりも、いつか結婚するんだろうな……想像も出来ないけど)

ひまわりのことを思うと、思わず笑みが零れた。
どうもオラはひまわりに甘いところがある。

たった一人の妹で、大切な家族。オラの、大切な。

今はただ、彼女の幸せを祈りたい。
父ちゃん達が他界した時、ひまわりは塞ぎ込んでしまった。
学校にも行かず、ずっと仏壇の前で泣いていた。

今では、それも嘘のように元気だ。

でもひまわりは、家族がいなくなることにトラウマが残っている。
一度、オラが事故で病院に運ばれた時、泣きながら病院に駈け込んで来た。
病室で眠るオラに、大声で泣きながら『置いてかないで』と叫んでいた。
オラは寝てるだけだったのにな。

今はどうかは分からない。
ただ、彼女を心配させないためにも、オラは元気でいないといけない。

今のところ生活も安定している。
このまま、平穏に暮らせていけば、それ以上に嬉しいことはない。

「……そろそろ寝るかな」

寝室に戻ったオラは、布団に潜った。そして、静かに目を閉じた。

34 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/14(木)23:49:04 ID:1O7mcjVGu
それから数日後、オラはとある居酒屋にいた。

「――かんぱーい!」

そこにいる全員が、高らかにジョッキを掲げる。

「風間くん、海外出張お疲れ様!」

「みんな、ありがとう!」

その日は、風間くんの帰国祝いが催された。
風間くんは、外資系の会社に勤めている。
数年前から海外出張をしていて、先日帰国したばかりだ。

「ホント、風間くんもすっかり一流サラリーマンね」

ねねちゃんが、感慨深そうにそう話す。
彼女は、保育士をしている。そして、オラたちの通っていた、フタバ幼稚園で勤務をしている。
園長先生が、相変わらず強面過ぎると、愚痴を言っていた。

ただ、仕事自体は楽しそうだった。

「僕も、いつか風間くんみたいに、夢が叶うといいな……」

少し哀愁を漂わせながら、まさおくんは言う。
彼は今、とある漫画家のアシスタントをしている。

かなり厳しい人らしいが、その分画力は上がってるとか。
今はアシスタントをしながら、漫画家デビューを目指し、日々ネームを作っているとか。

「風間くん、凄い」

ぼーちゃんは、チャームポイントの鼻水を垂らしながら、朗らかに笑う。
彼は、何かの研究者のようだ。その詳細は、企業秘密らしい。
ただ、先日研究チームの主任に抜擢されたとか。

相変わらず、なんだかんだで、一番しっかりしてる。

「……それにしても、しんのすけもずいぶん真面目になったな」

「そ、そうかな……」

「そうそう。小学校までのしんちゃんからじゃ、到底信じられないくらいだわ」

「そんなに変だったかな……」

「うん。変だった。でも、面白かったけどね」

オラたちは笑い合い、昔話に花を咲かせた。
こうして今でも変わらず昔を語り合える友達がいることは、

本当に素晴らしいことだと思った。

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