88 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/15(金)23:47:27 ID:0agH6Y210
「――はい、あいちゃん」

休憩所の中で、オラはあいちゃんにコーヒーを手渡す。

「ありがとう、しん様」

「このコーヒー、スーパーの特売品だから、

あいちゃんの口に合うか分かんないけど……こんなものでゴメンね」

するとあいちゃんは、首を振って笑顔を向けて来た。

「そんなことないです。しん様が入れてくれたものですもの。

それだけで心が満たされます」

そしてあいちゃんは、コーヒーをすする。

「……うん。悪くありません」

「ありがとう、あいちゃん。……ところで、そのしん様って呼び方、どうにかならないかな……」

「……嫌、ですか?」

「嫌というか……なんか、恥ずかしいし……」

「………」

しばらく考え込んだあいちゃんは、口を開いた。

「……分かりました。今日からは、しんのすけさんとお呼びいたします」

「助かるよ……」

彼女は、微笑んでいた。そんな彼女に、オラも微笑みを返した。




89 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)00:04:06 ID:Ch9MlILxO
「――それにしても、このようなところでしん様……

失礼、しんのすけさんと再会するとは、夢にも思いませんでした」

「オラもだよ。まさか、この工場の元請けがあいちゃんの会社だったなんて……

しかも、あいちゃんが視察に来るとは思いもしなかったよ。世間って狭いね」

「そうですわね。……でも、だからこそ人生とは楽しいのかもしれません」

あいちゃんとオラは、感慨深く話していた。

「……でも、あいちゃんは変わらないね。とても凛々しくて、カッコいいよ」

「そんな、しんのすけさん……それを言うなら、しんのすけさんもですよ」

「オラは……そんなことないよ。だって、昔みたいにバカやってるわけじゃないしね。

ガッカリしたでしょ?」

「いいえ!そんなことありません!」

あいちゃんは、語尾を強くしてオラの方に体を向けた。

「確かに、今のしんのすけさんは変わられました。でも、それはいいことなんです。
人は、時間の流れと共に、年齢を重ね、体を変化させていきます。
――ですが、心は違います。
心だけは、成長するか否かは、その人自身にかかってます。

若くして立派な心を持つ者もいれば、歳だけを重ねて、

いつまでも心を成長させない者もいます。
……しんのすけさんは、きっと前者です。

しんのすけさんは、歳相応に心も成長しているんです。
そんなしんのすけさんは、素敵だと思います……」

「あいちゃん……ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ。そんな自覚はないけどね」

「いいえ。しんのすけさんは、やっぱりしんのすけさんですよ。行動が変わっても、それは変わっていません」

あいちゃんは、微笑みながらそう言ってくれた。
そんな彼女の言葉に、どこか救われた気がした。

父ちゃんと母ちゃんがいなくなってから、オラはしっかりしようと思った。
オラがしっかりしないと、ひまわりを育てることが出来ない。そう思っていた。
それでも、オラの中には不安があった。自分はきちんと出来ているだろうか。

大人として、ひまわりの手本のとなれるだけの人になっているだろうか。そんなことを考えていた。

そしてあいちゃんは、オラのそんな不安を払拭してくれた。
それが、とても嬉しかった。

90 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)00:07:29 ID:qvRzPccu5
恋愛キター

91 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)01:16:32 ID:Ch9MlILxO
「ところでしんのすけさん。あなたは確か、中小企業で働いていたのではありませんか?どうしてこの工場で……」

「ええと……それはね……」

「……あ、もしかして言いにくい事情がおありなんですか?それなら、

無理に言う必要はありません」

「……そ、そう?ありがとう、あいちゃ――」

「――こちらで、調べますので……」

「へ?」

「――黒磯」

あいちゃんの呼び掛けに、天井からスーツ姿の黒磯さんが降りて来た。

「―――!?」

黒磯さんは、白髪になっていた。色々と苦労が多いのかもしれない。

それでも、その白髪頭は、まるで歴戦の戦士のように見える。

なんというか、渋い。
黒磯さんは、オラに深々と一礼した。

「……お久しぶりです、しんのすけさん。お元気でなによりです」

「あ、ああ……黒磯さんも……相変わらずだね……」

「黒磯。至急調べなさい」

「――御意」

あいちゃんの言葉に、黒磯さんは再び天井にロープを投げ、スルスルと昇って行った。
……色々と、レベルアップをしているようだ。

92 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)01:18:00 ID:pqv7Jb8ME
大変だね黒磯さん…

93 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)04:22:22 ID:ZKBD39bBy
黒磯ワロタ

97 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)09:40:11 ID:pqv7Jb8ME
先生との恋成就したのかな黒磯さん




100 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)11:00:32 ID:q9R7hRjXA
それから十数分後……

「――戻りました、お嬢様……」

今度は床下から這い出てきた黒磯さん。何でもありのようだ……

(ていうか、早すぎるだろ……)

そして黒磯さんは、一枚の紙をあいちゃんに渡す。
それを見たあいちゃんは、目を伏せた。

「……なるほど……こんなことが……しんのすけさんの心中、お察しします」

「察する程でもないって。特に何も考えてなかったからね」

「それでも、人のために行動するその御気持ち……あいは、感動しました!」

あいちゃんは紙を抱き締めながら、天を仰いだ。

「そんな、大袈裟だなぁ……」

するとあいちゃんは、視線をオラに戻す。そして、優しい笑みを浮かべて、切り出した。

「――しんのすけさん、あなたは、今の職場で働いていくおつもりですか?」

「う~ん……まあ、僕がいないと困るだろうし……。それより、なんで?」

「……実は、酢乙女グループの本社ビルで、新しく1名の雇用を募集しているのです」

「酢乙女グループの?」

「そうです。――しんのすけさん。そこに、応募してみませんか?」

「……え?」

101 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)11:01:25 ID:q9R7hRjXA
「給料は今よりはいいはずです。少々体力を使いますけど……」

「いやいや、それはダメだよ」

「どうしてですか?」

「だって、なんかそれって、卑怯じゃないか。あいちゃんのコネで入るみたいな感じで……」

そう言うと、あいちゃんはフッと笑みを浮かべた。

「しんのすけさんなら、そう言うと思いました。……ですが、その心配には及びませんわ。
その募集自体は、一般に正規に知らせていること。

それに、私がするのは、あくまでもそれを紹介しただけにすぎません。

結局採用されるかどうかは、しんのすけさん次第なんですよ」

「あ、そういうこと……」

そしてあいちゃんは、表情を落とした。

「……ごめんなさい、しんのすけさん。本当はすぐにでも採用したいのですが……」

「分かってるって。あいちゃんは、そこの重役だしね。

知り合いだからって、重要な仕事を無条件に任せるなんてしちゃいけないよ。
――そうだな。でも、せっかくあいちゃんが勧めてくれたから、ダメ元で受けてみるよ」

「……はい!頑張ってください!あいは、信じております!」

そしてオラは、応募した。
――だがその時、オラは知らなかった。

オラが応募したそれが、どういう仕事であったのかを……

102 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:07:18 ID:IrpLV8coe
酢乙女グループどういう経営してるんだよ

103 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:11:26 ID:jZcwezdY2
>> 102
それは、今更だろ
原作でも何でもありな経営してたし

104 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:17:01 ID:IrpLV8coe
>> 103
そうだったか?
全然覚えてない

おしえてくれ




109 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:35:42 ID:jZcwezdY2
>> 104
具体的には覚えてないけど、何かにつけて両親の会社の事業でって言ってたろ
コミック見ても、けっこうあると思うぞ

105 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:22:13 ID:pqv7Jb8ME
ゴミ拾いから土地経営までやってるからな

108 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:33:27 ID:IrpLV8coe
>> 105
ほうほう

111 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)11:40:26 ID:q9R7hRjXA
それから1週間後、オラは酢乙女グループ本社ビルの前にいた。

「ここが……」

摩天楼の真ん中にそびえ立つ、超巨大高層ビル……。

見上げると、目眩を起こしそうになる。

「……やっぱ、超巨大企業だよな……」

しかしまあ、見上げてばかりでは前に進めない。
とりあえず、中に入ることにした。

入り口を入ると、エントランスホールが広がる。
しかしまあ、無茶苦茶広い。たぶん、あの工場くらいの広さがある。
何だか場違いなところに来てしまった気がする。

(……いかんいかん。今の内から呑まれてどうする。落ち着くんだ……)

一度大きく深呼吸したオラは、受付に話しかける。

「――あ、あの……」

「はい。いかがされましたか?」

「ええと……今日予定されている、採用試験を受けに来たんですが……」

「……あなたが……ですか?」

受付の女性は、どこか不審がるような目をしていた。

受けるのが、そんなに珍しいのだろうか。

はたまた、オラが何かマズイ格好でもしてるのだろうか。

……まあ、確かに安物のスーツだが……

「……試験会場は、15階の会議室です」

しばらくオラを見つめた女性は、淡々とオラにそう説明した。
なんだか腑に落ちないけど、とりあえず、オラは15階に向かった。

112 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)11:53:17 ID:q9R7hRjXA
「ここか……」

看板の立てられた会議室を見つけたオラは、一度深呼吸してドアを開けた。
ここに、ライバル達が……

「…………」

――目の前の光景に絶句する。

会場にいたのは、オラが想像していた人ではなかった。
皆、屈強な体をしている。顔に傷があったり、筋肉隆々だったり……。

オラがドアを開けるや、全員が鋭い目つきでオラを睨み付けてきた。
その部屋だけ、海兵隊か何かの部屋のように異様な雰囲気だった。

「……間違えました」

オラは静かに、ドアを閉める。
そして入り口に立て掛けられた看板を、もう一度じっくりと眺めてみた。

そこに書かれていた文字は、何度見ても採用試験会場……間違いはないようだが……

何はともあれ、とりあえず中に入ることにした。




119 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)12:51:33 ID:q9R7hRjXA
それから少ししたら、試験官がやって来た。
年配の、とても小さい人だった。プルプル体が小刻みに震えている。
オラも浮いているが、オラよりもっと浮いていた。

「……えぇ、それでは、試験の説明に入らせていただきます。
試験は3日に分けて行われます。それぞれ、面接、体力、実技を行う予定です」

(実技って……何の?)

「それでは、さっそく始めますね。――ではまず、グルチェンコフさん」

「俺ノ出番カ!!採用ハ俺ガモラウカラナ!!HAHAHAHA…!!」

ゴリマッチョのドデカイ外国人さんが、片言で出ていった。ロシア人だろうか。
……てか、あんな人も受けてるんだ……

そこに来て、もしかしたら、すんごく変なものに応募してしまったのではと思い始めた。
だって、どう見てもパソコンとか使えそうにないし。
重火器使わせたらランボーより強そうだし。

全員が、まるで戦闘前のように瞑想にふけってる。
よく見れば、思い切りミリタリーチックな服装をしている人もいた。
スーツは、オラだけだった。

(……あいちゃん。オラに、何をさせようとしてるの……)

周囲を横目で見渡した後、溜め息を吐きながら、項垂れるしかなかった。

120 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)12:53:51 ID:tCcsSiknN
ヤクザと抗争でも始める気か…

121 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)12:57:58 ID:7IPv1MdhZ
昔のしんちゃんが目を覚ましそうだな

122 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)13:04:16 ID:q9R7hRjXA
それから、続々と歴戦の猛者共が呼ばれていった。
全員が一様に、気合を入れて出ていく。
この人達は、戦地にでも赴くのだろうか……まあ、ある意味戦場ではあるけど。

どう考えても、会社員より兵隊さんが合ってると思うけど。

「――次の方……しんのすけさん!」

「あ―――はい!」

ついに、オラの名前が呼ばれた。

「……オイオイ見ロヨ」ヒソヒソ

「ナンダアイツハ。マルデモヤシジャナイカ」ヒソヒソ

「ダガ、俺達カラスルト、ライバルガ減ッテ助カルナ」ヒソヒソ

「マッタクダ。HAHAHA…」ヒソヒソ

メチャメチャ笑われてる。ていうか、片言なのにやけに達者だな。
確かに、ここにいる奴から見れば、俺は笑いの対象だろうけど。

なんだか居心地が悪くなったオラは、足早に面接会場へ向かった。




125 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)13:15:50 ID:q9R7hRjXA
「――野原、しんのすけさんですね?」

「は、はい……」

面接室は、無駄に広い別の会議室だった。
そこに、試験官が2人いた。どう見ても、普通のおじさんだが。

「それでは、さっそく面接を開始します」

「は、はい!」

「……これから、あなたにいくつか質問します。

その質問に対し、嘘偽りなく答えてください。

なお、あなたの座る椅子には、ポリグラフ装置が組み込まれています。

きちんと、答えてください」

「ポリグラフ……」

(つまりは、嘘発見器か……)

変わった面接だと思う。
通常、面接では大多数の人が本音を隠して受け答えをするし、

企業側もそれを百も承知するはず。
なんだろうか。正直に言う人間に信用を置くのだろうか……

そして面接官は、重い口を開いた。

「――では、始めます……」

「………」ゴクリ

「……今まで、重火器等を用いて、人を撃ったことはありますか?」

「…………………はい?」

「また、それにより、人を殺害したことはありますか?」

「いやいやいやいやいやいや……ちょっとちょっと……」

「むぅ……ポリグラフが乱れていますね。一度、落ち着いてください」

(落ち着けるかあああああああ!!)

なんだこの質問は!?ポリグラフなんて使う必要もないだろ!!なんだこれは!!ふざけてるのか!?

……そこで、オラは察した。
きっとオラは、見かけだけで落とされたのだと。だからこそ、適当な質問をされているのだと……
おそらくは、これからも無茶苦茶な質問が来るだろう。

なんだか、凄く頭にきた。それに伴い、やけに頭が冷静になっていく。

(……いいさ。どんな無茶苦茶な質問でも、何でも答えるさ。オラの経歴に驚くがいい……!!)

126 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)13:18:37 ID:45pKcsLn2
映画であれだけ活躍してたり生き延びてたりしたから強いわ

127 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)13:23:33 ID:eyplkqomV
ほとんど5歳時だからな…
少し鈍ってるかもな

131 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)13:29:16 ID:q9R7hRjXA
そして、オラの戦いが始まる。

Q 今まで、人を殺したことは?
A 殺したことはありませんが、目の前で人が死ぬのは見ました

Q これまで行ったことがある場所で、変わったところはありますか?
A 過去と未来に行きました。あと、別の星とか。

Q これまでで、悪の組織等と戦闘したことはありますか?
A たくさんの悪の組織と対決しました

Q それは、例えば?
A 別の世界のオカマとか、世界征服を企む悪の組織とか。

悪の組織はいろいろいました。

世界を昭和時代に戻そうとしてたり、時間犯罪者だったり。

ああ、サンバ躍らせたり人を動物に変えようとした奴もいましたね。

Q それらの組織は、どのようにして勝利したのですか?
A 色々です。正義の味方と一緒に戦ったり、象になったり、温泉入ったり。

Q それでは、これまでで一番の功績は?
A もちろん、幾度となく世界の危機を救ってきたことです。みなさんは知らないかもしれませんが、今の世界があるのは、全部オラ達のおかげなんです。

Q オラ達?他に、誰と一緒に?
A 両親等の家族や友達です。家族で世界を救ったことの方が多いでしょうね。

Q 分かりました。最後に、何か武道の心得はありますか?
A 小さい頃に、剣道をしてました。

Q 最終成績は?
A ちびっ子剣道大会で決勝まで行きました。辞退しましたけど。

Q その理由は?
A 当時テレビであってた、アクション仮面が見たかったからです。それに、当時のライバルに勝てたから満足しましたし。

Q 分かりました。ありがとうございました。
A いえいえ。どういたしまして。

……こうして、色々捻じ曲がった面接は終わった。

しかしながら、今考えても、小さい頃のオラって色々凄いな……

136 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)14:23:51 ID:7bWRoVCop
しんちゃん凄すぎwww

145 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)20:37:02 ID:YyfzqyQw8
wktk

146 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)20:57:05 ID:88uqRJAJb
ワクワクが止まらない




147 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)21:04:53 ID:q9R7hRjXA
初日が終わったオラは、帰りながら項垂れていた。
あんだけ無茶苦茶な質問が繰り返されたんだし、たぶん無理だろ……

とはいえ、試験は全て受けないといけないらしい。
本音を言えばもう行きたくないんだけど……

それだと、せっかく紹介してくれたあいちゃんに申し訳ない。

しかたなく、二日目以降も行くことにした。

「――お兄ちゃん、なんか疲れてるね……」

家で、オラにお茶を出しながらひまわりが呟いてきた。

「ああ、ありがとう。……まあ、ちょっと慣れないことやったしな……」

(あんな面接、慣れてる人の方が珍しいだろうけど……)

するとひまわりは、困ったように微笑みかけてきた。

「……お兄ちゃん、無理しないでよね。

お兄ちゃんさ、ときどき、色んな事を全部一人で背負っちゃうし」

「……」

「私もいるんだからね?家族なんだし……。

だから、その……うまく言えないけど……」

あまり慣れないことを言ったからか、ひまわりは言葉に詰まってしまった。
……でも、それでも、彼女の気持ちは、思いは、十二分に伝わってきた。

「……ありがとう、ひまわり。少し楽になったよ……」

「……うん。頑張ってね!お兄ちゃん!」

ひまわりは、太陽のような笑顔をオラに向けた。

ひまわりは、漢字で向日葵と書く。別名、日輪草。
……父ちゃん、母ちゃん、ひまわりは、名前に負けないくらい、

太陽のような女性に育ってるよ。

――明日も、頑張ろう。

148 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)21:07:23 ID:YyfzqyQw8
会話が夫婦みたいでなごむ

150 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)21:32:39 ID:q9R7hRjXA
――試験二日目。

この日は体力試験。酢乙女グループが所持する、ドームで開催。
とりあえずジャージで出場。
他の軍人(?)様は、皆が白いタンクトップ。
際立つ筋肉。漂う漢達の匂い。
……暑苦しい。

――第1種目「100m走」――

オラの記録、16秒。
他の皆様、平均11秒。
いや早すぎでしょ。

――第2種目「懸垂」――

オラの記録、4回。既に腕がパンパン。
他の方々……平均100回オーバー……
どういう体の構造してんの……

――第3種目「ソフトボール投げ」――

オラの記録、55m。
他の方々……100m越え連発……
野球選手でも目指しているのだろうか……

こうして、体力検査は進んでいった。
結果から言えば、オラが圧倒的最下位をひた走る形となる。
頑張ろうかと思ったけど、流石にもう無理だろうな。
他の方々が逞しすぎるし。

……そもそも、いったいなんの採用になんだろうか……

そして試験は、最終日を迎える。




156 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)21:59:00 ID:q9R7hRjXA
「――今日の試験最終日は、実技です。みなさん、頑張ってください」

「イエッサー!!!!!」

年配の人は、そう話す。
他の方々は、元気いっぱいに答える。

実技の場所は、とある建設現場……なぜこんなところだろうか。
ていうか、実技ってなんだろう……

オラの不安を他所に、試験官はよぼよぼと話す。

「……今日は、試験責任者である、

酢乙女あい様が見学に訪れています……お嬢様、どうぞ……」

すると、試験官の後ろからあいちゃんが出て来た。

「皆様、今日の試験、頑張ってください」

「ウオオオオオオオオオオ!!!!」

興奮する男共。

(あいちゃん、来てたんだ……)

あいちゃんはオラの方を一度だけ見て、小さく笑みを零した。

(あいちゃん……オラ、もう無理っぽい……)

162 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)22:40:19 ID:q9R7hRjXA
そして、試験官は口を開いた。

「――さて……そろそろ試験を開始―――」

――その時……

「――全員動くな!!」

「………へ?」

突然、その場所に男の怒鳴り声が響き渡った。

その声の方向を見ると、そこには、銃を構えた数人の覆面姿の男が立っていた。

「ええと……これは……」

よく状況が呑み込めない。全員が、動きを止めていた。
すると覆面達は、銃を向けてさらに叫んで来た。

「大人しく、酢乙女あいを渡してもらおうか!!」

(これって……)

相手は、銃を持っている。酢乙女あいを連れて行こうとしている。
それが意味するのは………誘拐?

(えええええええ!!??)

いくらなんでも、えええええ!?

あいちゃんは老人の陰に隠れて震えている。
超大企業の御令嬢だからだろうか。誘拐して身代金って流れだろう。

不思議と、頭は冷静だった。
あまりに現実味が無さ過ぎて、第三者的立場にいる感覚なのかもしれない。

「――チョット待チナ!!」

「―――ッ!!」

突如、逞しい方々が覆面達の前に立ちはだかった。

「オ嬢様ニハ……手ヲ出サセナイゼ!!」

そして男達は、一斉に覆面達に向かって行った。

163 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)22:41:17 ID:q9R7hRjXA
ここぞとばかりに、自らの武勇を示すかの如く、逞しい方々は飛び掛かる。
勇ましい。実に勇ましい。
覆面達は銃を使う暇もなかったようだ。肉体と肉体による、激しい乱闘が始まる。
まるで映画のワンシーンのようだ。
オラは見物客だけど。しかし、アピールするには確かに最適かもしれない。

何も出来ないにしても、オラも何かすべきだろうか―――

――その時、オラの目が捕えたのは、恐怖のあまり涙するあいちゃんの姿だった。

その姿を見たオラは、無意識にあいちゃんの方に走り出していた。
そして震える彼女の体を掴み、声をかけた。

「あいちゃん!!大丈夫!?」

「し、しんのすけさん……」

とりあえずは大丈夫のようだ。とにかく、彼女をどこかへ避難させないと……

「あいちゃん!!まずここを逃げ―――!!」

「――試験!!終了~!!」

突然、試験官のおじいさんが声を張る。その声に、全員が動きを止めた。

「………へ?」

164 :名無しさん@おーぷん:2014/08/16(土)22:44:44 ID:MeN8hXCuU
あいちゃんも知らなかったみたいだな

165 :◆YAe/qNQv0cvW:2014/08/16(土)23:05:23 ID:q9R7hRjXA
全員が動きを止める中、さっきまで泣いていたあいちゃんがすくりと立ち上がった。

「ええと……あい、ちゃん?」

「……しんのすけさん、騙してごめんなさい」

「……どういうこと?」

すると、あいちゃんはクスリと笑った。

「――これが、試験なんですよ。私の身が危なくなった時、真っ先に私に駆け寄って来るかどうかを確かめるための……」

「え?え?で、でも、あいちゃん震えてたし……それに、泣いてたし……」

オラの言葉に、あいちゃんは更に微笑む。

「……私の演技も、なかなかでしょ?」

(あ、あいちゃん……そりゃないよ……)

あいちゃんの説明に、筋肉隆々の男達はぶーぶー文句を言い始める。

「ナンダヨソレ!!」

「聞イテナイヨ!!」

……とまあ、好き勝手叫びまわっていた。
だがここで、試験官の爺さんが口を開く。

「――お黙りなさい!!」

それまでの彼とは全く違う、覇気のある言葉だった。
試験官の言葉に、男達は固まる。

「……お嬢様の身が危ないというのに、

自分の評価のために、お嬢様を差し置いて犯人に飛びかかるとは何事ですか!!
あなた方は、これが何の試験か分かってるのですか!?
あなた方の行動は言語道断!!プロとしての意識が欠如し過ぎている!!

――失格で、然るべきです!!」

「……」

男達は、黙り込んだ。
暑苦しい男達は、今にも泣きそうな顔をしていた。
鬼の目にも涙、か……

コチラからご覧ください↓




①【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

②【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

③【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

⑤【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

⑥【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

⑦【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

⑧【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

⑨【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

⑩【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

11【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。

最終回12【涙腺崩壊】クレヨンしんちゃん作者事故死から7年…今明かされた22年後の物語に涙が止まらない。※日本中が涙しました。