日本ロジテックの破産手続き開始決定 負債総額163億円
2016/4/1新電力として企業や自治体に電力を販売していた日本ロジテック協同組合(東京・中央)は15日、東京地裁に破産手続き開始を申し立て、即日受理された。負債総額は約163億円。9月26日に債権者集会を開く。
日本ロジテックは組合員からの出資金を元手に自治体の発電所などから電力を安く仕入れ、企業や自治体などの大口需要家に大手電力よりも安く供給する事業モデルで成長。しかし自前の発電所の建設計画などが引き金となり資金繰りが悪化した。
3月31日で電力小売事業を終了していた。債権者数は約800という。
経済新聞から。

日本ロジテックの撤退で気になる、電力会社の倒産時の手続き

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電力自由化ニュース

特定規模電気事業者の大手である日本ロジテックが、電力小売事業から撤退します。もしこれが自分が契約している会社だったら?私はどうすればいいの?電力自由化直前、電力会社の撤退・倒産について今一度考えてみましょう。

特定規模電気事業者(PPS)の大手である日本ロジテックが、2016年3月末に電力小売事業から撤退します。つまり電気を売らなくなるということです。企業・自治体などを対象にした「高圧電力」の話ですが、家庭向けにも電力自由化が始まる2016年4月以降、こういったニュースは他人事ではなくなります。
もしこれが自分が契約している会社だったら?電力自由化直前の今だからこそ、改めて電力会社の撤退・倒産について考えていきましょう。

電力小売事業から撤退することになった日本ロジテックとは?

2月24日にニュースとなった日本ロジテックについて、簡単にご説明しましょう。正式名称は「日本ロジテック協同組合」、特定規模電気事業者として登録されています。電力調査統計によると、高圧市場における新電力の中で日本ロジテックのシェアは5%、上位5社に入る規模なんです。(2015年9月)
何も知らずにここまで聞くと、ちゃんと登録もされているし実績もあるしっかりとした会社という印象を持ちますよね?何がおきてしまったのでしょう?

特定規模登録事業者って?どこに電気を売っていたの?

特定規模登録事業者とは、一般家庭用の電気(低圧電力)に先駆けて2000年に自由化された「高圧電力」、いわゆる大口需要家に対して電気を小売する電力会社のことです。ちょっと前までは、「新電力」というのはこのPPSのことを指していたんですよ。
資源エネルギー庁によると、こうあります。

契約電力が50kW以上の需要家に対して、一般電気事業者が有する電線路を通じて電力供給を行う事業者(いわゆる小売自由化部門への新規参入者(PPS))。

出典:電気事業制度の概要|電気事業制度について|資源エネルギー庁

日本ロジテック協同組合は、全国の自治体や公官庁などと契約して電気を売っていました。2月25日付けの電気新聞によると、千葉県の2つの県立高校が2016年度の電力供給を受けることになっていると報じられています。学校に電気が来なくなったら大変ですよね。

なぜ電力小売から撤退するの?

端的に言ってしまえば、資金繰りの悪化です。

エネチェンジでは何度かご説明していますが、すべての電力会社の電気は送配電会社(地域電力会社)の送電網を通じて電気が使われる場所まで届きます。その際電力会社には自社の契約者が使った電気の量と同じ量を、毎30分ごとに送電網へ流す義務があるんです(30分同時同量)。

しかし、例えば使っている発電所が故障してしまったとか、想定外の猛暑で消費電力が異常に多かったなどの理由で、この義務を守れないこともあるわけです。その場合、契約者の電気を止めるわけにはいきませんよね?というか、それで毎回止まったら契約者は困っちゃいます。
なんとか契約者に電気を届けるために、他の電力会社が新電力(今回の場合は日本ロジテック)に代わって電気を供給するんですね。電気を供給できなかった電力会社には、ペナルティを含んだ高い料金で「代わりの電気」の電気代を、助けてくれた電力会社に払うことになります(インバランス・ペナルティ)。

こういった状況が続いてしまうと、想定以上に出費がかさみ電気を売れば売るほど赤字になっていき……最終的には会社は立ちゆかなくなりますよね。その他、計画してた以上に皆が電気を使っているということになれば、電気を取引する市場での値段が上がってしまい、やはり調達するのに予想以上の費用がかかるようになったりします。
ある程度、計画をしていて大丈夫だと思っていても、想定外の出来事は起るものです。報道ではこうしたペナルティの積み重ねや調達費用の上昇が、ロ社の撤退判断につながったとされています。

4月からは家庭にも売るはずだったの?

日本ロジテック協同組合は、家庭向けの電力小売りに参入する資格のある「登録小売電気事業者」としては登録されていません。あくまで企業向けの新電力会社なのです。

電力自由化で電力会社を変えたら、その電力会社が倒産・撤退?!

とはいえ、この日本ロジテックの撤退のニュースは、4月の電力自由化以降は他人事ではなくなるんです。例えば、アナタが電気代を安くしたくて、新電力と契約したとしましょう。その会社が、「電気売るのやめます」と言い出したのと同じなんです。

電力会社が倒産・撤退したら電気は来なくなるの?

答えからいうと、電気が突然こなくなることはありません。契約している電力会社が倒産・撤退したとしても、アナタの家には電気は届けられます。なぜなら、国の取り決めで、2020年までの間は地域の電力会社(東京であれば東京電力)に全ての家庭に電気を届けることが義務付けられているから。もちろん、地域の電力会社への連絡は必要ですが、大半の消費者が現在契約している「従量電灯」のプランに必ず戻ることができるんです。ただし、当然ながら一度「安くなる!」と思って乗り換えていた新電力のプランの値段に比べたら、元に戻るわけなので、電気代は少し上がります。そんなわけで、「電気はくるけど、電気代が高くなる」と覚えておきましょう。
2020年以降は、送配電会社に供給義務が残ります。いずれにせよ、契約中の会社が理由で、家庭の電気が突然切れることはないように運用されます。

電力会社が倒産・撤退した時に、私たちがすべきこと

とにかく、新しい電力会社を探して契約をすることが大切です。編集部が電力取引監視等委員会に確認したところ、下記ような流れになると教えてくれましたよ。

契約している新電力会社が倒産した場合の流れ
  1. 契約中の電力会社から、「電力供給ができなくなる」という通知が届く15日前までに通知するのが望ましとされています
  2. その通知には、地域の電力会社の「従量電灯」に戻れるという記載があるはずです。
  3. 【アナタ】新しい電力会社を選び直して新規契約をするか、地域の電力会社に一旦戻るかを決める必要があります
  4. 【アナタ】契約する電力会社を決めて、「契約したい」と電力会社に連絡をします
  5. 契約が切り替わります

経済産業省は、今回の電力自由化で新規参入する電力会社に対して「電力の小売営業に関する指針」を新たに設けました。この中で、電気の供給ができなくなる場合についても記載がされており、それによると最低でも15日前までに通知がくることになっています。

が、倒産ですから、そんな余裕もなく潰れていく場合も想定されますよね。通知もなく電力供給が終了してしまったら、どうなるのか編集部で考えてみました。

契約している電力会社が、夜逃げみたいな感じで突然姿を消してしまった場合
  1. 一般送配電会社(地域の電力会社)は、電力会社からの不払いが続くと、電力会社との契約を解除をします(=電線を使わせない)
  2. 一般送配電会社は、電力会社との契約解除の5日前までに、電力会社と契約をしている一般消費者に通知を送ります
  3. 一般送配電会社からの通知は「5日後に電気止まりますよ」という内容です。これにも地域の電力会社に戻れることが記載されています。
  4. 【アナタ】新しい電力会社を探す……といっても、5日しかないので、一旦地域の電力会社に連絡するのが無難そうですね
  5. 【アナタ】地域の電力会社に連絡して、まずは電気の契約をしましょう

と、ここまで書いていますが、このフローはあくまで想定です。地域や会社によっては対応が違ってくる可能性もあるので、あくまでひとつの例としてお考えください。
電力自由化はまだ始まっていないため、何が起きるかはわからないというのが正直なところでしょうか。

もし自分がこうなってしまったらと考えると……パニックになりそう(汗)。一般送配電会社から「5日後に止まりますよ」と言われてもビックリですよね。もしかしたら、その通知自体を疑ってしまうかも……。でも、この通知は無視をすると、本当に電気が止まってしまうようです。「これ本当?」と思ったら、契約している電力会社に電話、通知を送ってきた会社に電話など、自分自身でしっかりと確認して、適切な対応をとっていくことが重要になります。

編集部からお伝えしたいのは、契約している電力会社の状況はしっかりとチェックしましょうということ。日頃から、案内や重要なお知らせなどはしっかりと目を通して、わからないことがあったら自分で問い合わせるというアクションを取れるようにしたいものです。

小さい会社や新しい会社は倒産しそうで不安?

一般消費者からしたら、倒産しそうな会社とはそもそも契約を結びたくないというのが普通の心理ですよね。
今回、家庭向けの電力小売自由化にあたって、経産省は小売事業者を審査のある「登録制」にしました。法律では登録を拒否できる要件として、以下の様な要件を定めています。

小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保できる見込みがないと認められる者その他の電気の使用者の利益の保護のために適切でないと認められる者

出典:電気事業法等の一部を改正する法律案

つまり、小売電気事業者として家庭むけの営業をしている会社は「国の審査を通った」会社なんです。

とはいえ、急な変動に対応する「予備力」の会社ごとの確保量などは公開情報ではなく、また電力会社の契約数が予想を大幅に上回れば、計画に狂いが生じる事も考えられます。また企業向けに実績がある電力会社でも、営業時間の決まっている企業とは違い、家庭の気まぐれな電気の使い方の経験はありません。
どの会社なら絶対安心といえるのか、正直こればっかりは電気のプロにもわからないというのが本音です。

電力会社の倒産はありえる、だからこそ正しい知識をもって対応を

日本ロジテック協同組合のニュースをきっかけに、電力会社の倒産や倒産したときの対処方法をご紹介しました。編集部として強調したいのは以下の2点。

  • 契約している電力会社が倒産しても、電気は届きます
  • 次の電力会社と契約の手続きをするのは、アナタ自身です

電力会社が倒産しても電気は届くということで、まずは安心ですよね。でも、次の電力会社を探すのはアナタがやらねばなりませんよ!電力自由化で自己責任の範囲が広がるのに備え、正しい知識を身につけましょう。

エネチェンジではアナタに最適な電気料金プランを比較検討できるサービスエネチェンジ電力比較を提供しています。電力自由化後の最適な電気料金プラン探しに、ぜひご活用ください。